ピクトグラム

観光地でピクトグラムが注目される背景

観光地の現場では、国内外からさまざまな来訪者が集まるため、「案内を出しているのに、思ったほど伝わらない」という場面が少なくありません。特にインバウンドの増加により、言語の違いだけでなく、文化的な前提の差から、意図がずれたり、誤解が生まれたりすることもあります。

そこで近年、文章に頼りすぎず、ひと目で要点を伝えられるピクトグラムが、案内の手段としてあらためて注目されています。ピクトグラムは混雑している場所や移動中のように、立ち止まって文章を読みづらい状況でも、視覚情報が届きやすいという利点があります。

ピクトグラムとは、言葉を使わずに情報を伝えるための視覚記号(アイコン)です。
人や物の形をシンプルに図案化し、見た瞬間に意味が伝わるよう工夫されています。

言語の壁を越える“視覚的コミュニケーション”

ピクトグラム

ピクトグラムの良さは、文章を読まなくても意図が伝わりやすいところにあります。「静かに」「撮影禁止」「飲食禁止」などの行動案内は、短い時間で共有したい情報だからこそ、ピクトグラムが役に立ちます。

ただし、文化や慣習の違いで受け取り方が変わることもあるため、重要な内容ほど、JIS規格ISO規格に準拠した表現など、できるだけ普遍性の高いデザインを意識すると安心です。条件がある場合は、長い説明ではなく、要点だけを短く添えるだけでも、誤解の防止につながります。

観光地で生じやすい情報ギャップを補う役割

観光地では、トイレや休憩所などの施設案内に加えて、マナー啓発や利用ルールといった「お願いごと」も多くなりがちです。文字だけで伝えると、見落とされたり、読み違えが起きたりする場面もありますが、ピクトグラムを併用すると意図が伝わりやすくなります。

また、施設や店舗ごとに表示がバラバラだと、来訪者は「どれが正しい案内なのか」を判断しづらくなります。エリア内で表現を揃えるだけでも、迷いにくい案内環境が整っていきます。よくある質問や、注意喚起が増えやすい場所から優先的に活用すると、効果を感じやすくなります。

誤解が起きやすい案内は「図+短い補足」で伝わり方が変わる

例えば「撮影禁止」は、ひとことで書くと分かりやすい反面、来訪者によって受け取り方が揺れやすい案内でもあります。「写真も動画も不可」と受け取る方もいれば、「フラッシュだけが不可」「この場所だけ不可」と解釈する方もいます。

こうした案内は、ピクトグラムに加えて「写真・動画とも不可」「フラッシュ不可」「〇〇内のみ」など、対象・範囲・例外を短く補うだけで、伝わりやすいでしょう。「飲食禁止」「立入禁止」「通行方法(入口・出口、一方通行)」なども、条件が絡む場合にも有効です。

ピクトグラム

観光体験の質を高め、地域の印象を向上

ピクトグラムは、観光マップや看板、ポスターなどと組み合わせることで、必要な情報をすばやく把握できる状態をつくります。トイレ・休憩所・危険箇所・撮影スポットなどが直感的に分かると、迷う時間が減り、回遊もしやすくなります。結果として、観光の満足度にもつながっていきます。

さらに、案内が分かりやすく統一されている場所は、トラブルが起こりにくく、来訪者にとってもストレスが少ない傾向があります。「整備されていて安心できる」という印象は、観光地全体の信頼感にもつながるため、地域のブランド価値の面でもプラスになりやすいと言えます。

活用時に押さえたいポイント

  • 重要情報ほど“標準に近い表現”を優先:JIS/ISOに準拠したデザインを意識し、誤解を減らす
  • 条件がある場合は短い補足を添える:範囲・例外・時間帯などは要点だけを短文で
  • エリア内で統一する:線幅や禁止マークなどのルールを揃え、迷いにくさをつくる

当社では、ピクトグラムを使用したマナー啓発ポスターを無料公開しています。外国人旅行者にも伝わりやすいデザインとして、観光地のマナー啓発に幅広くご活用いただけます。

マナー啓発ポスター

豆知識:1964年東京五輪は、ピクトグラムが「世界の共通語」になった転換点

オリンピックでおなじみのピクトグラム。実は、1964年の東京オリンピックをきっかけに世界中へ普及したことをご存じでしょうか? 世界各国から人々が集まる祭典だからこそ、言葉の壁を越え、ひと目で伝わる案内が必要だったのです。

当時はアートディレクターの勝見勝氏らが中心となり、統一感のあるサイン計画が推進されました。「デザインのルールを整えて迷いを減らす」というその思想は、現代の観光案内や公共サインにも脈々と受け継がれています。

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