コミュニケーションとモバイル環境の完備が大切
日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しており、観光地で快適に過ごしてもらうための環境整備が求められています。
特に無料Wi-Fi環境や多言語での案内といった情報提供の仕組みは、旅行者の満足度に直結します。
国土交通省の調査では、外国人旅行者が実際に困ったことや利用している設備、今後求められる環境が明らかになりました。
外国人旅行者が旅行中に困ったことについて
まず、旅行中に「困ったこと」として最も多かったのは、無料Wi-Fiなどの通信環境に関する問題でした。
続いて言語などのコミュニケーションの壁、そして公共交通の情報入手が課題として挙がっています。
- 1位「無料公衆無線LAN環境」が36.7%。
- 2位「コミュニケーション」が24.0%。
- 3位「目的地までの公共交通の経路情報の入手」が20.0%。
この結果からも、外国人旅行者にとって「情報へのアクセス」と「言葉の壁の解消」は、観光地での体験を左右する重要な要素であることがわかります。
よく使う設備・備品
次に、旅行者が実際によく利用している観光案内所の設備・備品についての結果です。
多言語での情報提供が中心であり、多言語表記の役割も依然として大きいことが示されています。
- 「多言語地図」が82.0%、
- 「多言語パンフレット」が67.6%、
- 「外国人観光客対応用カウンター」が48.2%
- 「交通機関の時刻表」も31.8%と他と比較してよく使われている。
特に多言語地図や多言語パンフレットは、Wi-Fiが不安定な地域や屋外でも利用しやすく、観光情報を得る上で重要なツールといえます。
あってほしい設備・備品
今後あってほしい設備として最も多かったのは、やはり公衆無線LAN環境でした。
観光客がリアルタイムに情報を取得できる通信環境へのニーズは非常に高く、観光案内所の設備改善にも直結します。
- 「公衆無線LAN環境」が50.8%と最も多い。
- 「ネット接続PC」が33.8%となっている。
この結果は、スマートフォン利用が主流となった現代において、観光案内所でもデジタル情報へのアクセス支援が求められていることを示しています。
不満に感じた点に関する主な回答
自由回答では、外国人旅行者が現地で不便に感じた具体的な声が数多く寄せられています。
コミュニケーション面だけでなく、案内所の配置や多言語対応、決済環境など、多方面にわたる課題が浮かび上がりました。
- 全般的に英語が通じない。
- 小さな町のインフォメーションセンターにも英語が話せる人がいると良い。
- 英語による情報手段、地図が不十分。
- クレジットカードが利用できるATMが少ない。場所も分からない。
- 無料Wi-Fi環境は日本ではよく整備されていない。
- 外国人旅行者にとって無料Wi-Fi環境は重要。
- 観光案内所自体を探すのが大変だった。
- 案内所のサインが少ない。
- 観光案内所は2Fではなく、1Fにあった方が分かりやすい。
- インフォメーションセンターの数が少ない。
- もっと数を増やした方が良い。
- 英語と日本語の両方記載されている地図がない(英語だけだと不便)。
- 観光案内所の中に国際電話の設備がない。
- ホテル・チケット情報は多いが観光地の情報が少ない。
- 自分の地域の情報は提供してくれるが、他の地域の情報は提供してくれない。 (京都で岐阜の鵜飼いの情報を知りたかったが、分からなかった)
- コールサービスがない。ホテルの手配などの時、案内所で電話もしてくれない。
- 自分でしてくれと言われたが、ホテルの人も英語ができない。
- クレジットカードを使えるところが少ない。
- 鉄道駅はとても広いが案内板が分かりづらかった(色で使い分けがされていない)。
観光案内所から紹介のあったホテルはWEBで検索できるホテルに比べて価格が高い。 - バス乗り場が分かりにくい。
- 公共の場でもっと英語のアナウンスがあれば良い。言葉の問題(特に医療が心配)。
- 祭りの際に英語案内が少なすぎる。
これらの意見から、観光地の情報発信は単なる多言語化にとどまらず、現地での利便性や安心感を高める工夫が求められています。
Wi-Fi環境の整備、英語対応スタッフの配置、案内所サインの改善など、デジタルとアナログの両面での取り組みが、より良い観光体験につながるでしょう。
