ARマップと観光プロモーション

AR×マップで広がる観光・地域プロモーションの可能性

いま、観光地の「地図」は道案内だけではなく、体験の入口として変化しています。

旅行者は来訪前にSNSや動画で情報を集め、現地ではスマートフォンで回遊し、帰宅後は写真や動画で思い出を共有します。つまり観光プロモーションは、来訪前・来訪中・来訪後までを一続きの体験として設計することが重要になってきました。

その流れの中で注目されているのが、AR(拡張現実)です。風景に情報を重ねたり、過去の姿を3Dで再現したり、音声で案内したりと、紙や従来のWebページだけでは伝えきれない価値を補完できます。さらにARは、回遊促進・満足度向上・SNS発信の後押しなど、観光プロモーションの複数目的を同時に支える手段になり得ます。

「ARだけ」では届かない —地図と組み合わせるべき理由

ARは単体でも魅力的な体験をつくれますが、いざ導入してみると「どこで使えるのか分かりにくい」「一度試して終わってしまう」といった状況になりやすい面もあります。そこで地図と組み合わせることで、AR体験までの流れが見えやすくなり、利用のハードルを下げて体験につなげやすくなります。

  • 導線が分かりやすくなる:どの場所で何が体験できるのかを、視覚的に伝えられる
  • 位置情報と連動しやすい:場所に合わせて情報を出し分けられ、必要な内容を届けやすい
  • 回遊のきっかけになる:次に向かう場所が「移動」ではなく「楽しみ」につながる
  • 紙・Webとも相性がよい:配布のしやすさと、更新のしやすさの両方を活かせる

そもそも地図は、目的地へ案内するだけでなく、寄り道や新しい発見を生み出す存在でもあります。ARを組み合わせることで、地図は「情報を並べるもの」から、体験を広げる「旅のガイド」のような役割へと近づいていきます。

紙媒体とARは、役割を分けて相乗効果を高める

紙媒体には一覧性・配布のしやすさ・安心感といった強みがあります。一方で、映像や音声などの動的表現、最新情報の反映、多言語対応、個別ニーズへの最適化は得意ではありません。そこで、ARを組み合わせることにより、紙の良さを残したままその弱点を補うことができます。

紙の強み
  • 配布しやすい(手に取ってもらえる)
  • 全体が見渡せる(俯瞰しやすい)
  • 電源不要で安心(災害時・通信不安時にも有効)
  • 幅広い世代に対応(利用ハードルが低い)
  • 記念に持ち帰れる(旅の余韻を残せる)
ARの強み
  • 動画・音声・アニメーションによる表現
  • 情報の即時更新(営業時間・イベント・混雑など)
  • 多言語対応(字幕・音声切替)
  • 個別の興味に合わせた情報提供(おすすめの出し分け)

目的別に整理すると設計がぶれない

ARの魅力は多様ですが、機能を並べるだけでは「何のために導入するのか」が曖昧になりがちです。ここでは、観光施策で特に活用しやすい機能をご紹介いたします。

1. 理解を深める(納得が増える)
  • 建物や展示の構造を図解・アニメーションで分かりやすく解説
  • 復元映像で「過去の姿」と「現在」を比較し、ストーリーで理解
  • 視覚に頼らない音声ガイド(移動中・混雑時にも有効)
  • 子ども向けにキャラクターやクイズ形式で学びをゲーム化
2. 行動を促す(回遊が増える)
  • スポットごとにスタンプやバッジを用意し、達成感を設計
  • 特定の場所・角度でしか見られない仕掛けで「行く理由」を作る
  • テーマ別・所要時間別の回遊ルートを提示し、迷いを減らす
  • 混雑回避のリアルタイム誘導で、スムーズな観光を後押し
3. 発信を促す(拡散が増える)
  • 地域の特色を活かした写真フレーム・演出(“撮りたくなる”を作る)
  • キャラクターや名物と一緒に撮影できる体験で記憶に残す
  • 投稿例・ハッシュタグ・投稿導線を提示し、行動の最後を支援
4. 案内・安全を支える(安心が増える)
  • 字幕・音声・図解を使った多言語対応(理解の抜け漏れを減らす)
  • 段差・スロープ・トイレ等のバリアフリー情報を現地で見やすく提示
  • 災害時には避難場所・避難経路をARで可視化し、判断を支援

導入前に目的とKPIを決める

ARは「導入すること」が目的になりやすい施策です。継続的に成果を出すためには、最初に目的(何を変えたいか)を明確にし、KPI(何で測るか)を定義することが不可欠です。KPIが定まると、必要な機能・コンテンツ量・運用体制も現実的に設計できます。

  • 回遊促進:AR体験スポットの訪問数、スタンプ獲得数、周遊完了率
  • 滞在時間の延長:平均滞在時間、エリア別滞在時間、離脱ポイント
  • 情報伝達:ガイド再生回数、完了率、多言語利用率、FAQ閲覧数
  • 発信促進:SNS投稿数、ハッシュタグ利用回数、投稿到達数(可能な範囲で)
  • 満足度:アンケート結果、再訪意向、口コミ内容の変化

成功の鍵は「迷わせない導線」

AR施策の成果は、技術よりも体験設計で決まります。特に重要なのは、利用者が「何をすればよいか」を迷わないことです。地図・サイン・QRコード・現地導線を一貫させ、最短で体験に到達できる設計を作る必要があります。

  • ターゲット設定:年齢層・旅行スタイル(家族/個人/インバウンド等)に合わせる
  • 伝える内容:地域の魅力の中核を、短く・分かりやすく(情報を詰め込み過ぎない)
  • 体験場所:安全で立ち止まりやすい地点を選定(撮影・視聴に適した動線)
  • 利用のしやすさ:初回導入の手間を最小化(説明は短く、導線は明確に)

運用で失敗しないためのポイント

ARは公開してからが本番です。季節イベントや展示替え、営業時間変更など、観光地の情報は変動します。更新頻度・問い合わせ対応・権利処理を含めて運用設計しておくことで、長期的な成果につながります。

  • イベントや季節に合わせた更新頻度の計画(年次カレンダー化)
  • 変更が多い情報はWebで管理し、AR・紙へ反映しやすくする
  • 現地掲示・FAQ・スタッフ向け案内で利用サポートを整える
  • 利用ログを分析し、スポット配置や内容を改善に活用する
  • コンテンツに関わる著作権・肖像権・許諾の管理を初期から想定する

紙 × Web × AR の役割分担:それぞれの強みを最大化する

施策を一つの媒体に寄せるほど、どこかに無理が生じます。紙・Web・ARを役割分担させることで、配布力・更新性・体験性を同時に高められます。

  • :地図の俯瞰、QRコードの提示、回遊導線の起点
  • Web:最新情報、多言語ページ、詳細説明、問い合わせ導線
  • AR:現地での体験(理解・行動・発信)を生み出す仕組み

紙とデジタルの強みを組み合わせた観光地図へ

ARと地図を組み合わせると、観光プロモーションは「情報を伝える」だけでなく、「現地で体験してもらう取り組み」へと広げられます。それぞれの強みを組み合わせることで、回遊の促進、満足度の向上、SNS発信の増加まで、まとめて狙いやすくなります。効果を出すためには、最初に目的とKPIを決め、利用の導線を整えたうえで、改善を重ねる進め方が有効でしょう。

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

豆知識:ARは「仮想現実」ではなく「拡張現実」

ARは “Augmented Reality(拡張現実)” の略で、VR(仮想現実)のように別世界へ置き換える技術ではありません。
いま目の前にある風景や建物に情報を重ね、体験を「足していく」点が特徴です。

観光と相性が良いのは、現地の景観や空気感を大切にしながら、見どころや背景を分かりやすく伝えられるためです。
景色はそのままに、魅力をそっと付け足せる点が、ARの良さでもあります。

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